爆弾
爆弾のような花火が街を駆け巡る頃
あなたのことを思い出すのです
どこかできっと同じ花火を遠い所で見ていること
そんなことばかり願ってしまいます
薫風が耳を貫いて汗ばんだ肌を夏蝉が馬鹿にして
私は熱帯夜に溶けてしまいそうです
親愛なるあなたへ
私は私になれるでしょうか
こんな体でこんな見た目で
自分を愛せるでしょうか
親愛なるあなたの爆弾になれるでしょうか
あなたの全てをぶち壊すような
そんな夏になりたい
街は哀で満ちています
途方も無く熱が熟れていて
窓越しに見える祭り囃子に黄昏るばかり
蚊取り線香の匂いすら
全てが愛しく思えていて
永遠なんてものを思ってしまいます
あなたもきっとお金とか生活とかに染まりながら
大切な何かを探していますか
親愛なるあなたへ
あなたを思うたび嫌いになって
嫌いになって苦しくなって
そしてまた好きになります
親愛なるあなたの言葉は爆弾のようで
私の全てをぶち壊すような
そんな夏でした
上手く飾って上手く並べて
綺麗にできましたって人生を
捨て去ってしまって私はぼーっと打ち上げ花火を見てます
あなたが書いた詩を
私は少ない脳でなぞるだけ
泳ぐだけ
金魚鉢の中の様
親愛なるあなたへ
私はいつか私になって
さよならが全て愛おしいことを
必ず証明してみます
親愛なるあなたの爆弾になれるでしょうか
あなたの全てをぶち壊すような
そんな詩を書きたいのです
あなたの全てを見下ろせる様な
そんな夏になりたい
そんな夏になりたい